ESAとユークリッドチームはQ2クイックデータリリースを公開した。2025年3月、ユークリッドは可視光装置で天の川銀河中心付近の9つの隣接視野を走査し、4.8平方度に6000万個を超える恒星を含む高解像度画像を作成した。この画像は混み合った銀河バルジを示すだけでなく、既知および将来の重力マイクロレンズ惑星イベントに初期の光学参照点を与える。

要点

  • Euclid Q2は銀河バルジに特化したクイックリリースで、観測は2025年3月23日から24日に行われた。
  • 公開画像は4.8平方度、空の満月約22個分を覆い、6000万個を超える恒星を含む。
  • 観測にはユークリッドの可視光装置VISを使用した。科学データは単色で、公開カラー画像にはCFHT MegaCamの色観測が加えられている。
  • ユークリッドの高解像度画像は、既知および将来の重力マイクロレンズイベントの初期光学参照になり得る。
  • 2026年9月3日時点で、NASAのローマン宇宙望遠鏡は8月30日に打ち上げ済みで、今後の銀河バルジ探査はユークリッドのデータを補完する。

天の川銀河の中心は、単なる明るいもやではない。2026年6月24日にESAとユークリッドチームが発表したQ2クイックデータリリースは、この方向を測定可能な一つ一つの恒星として分解して見せた。ユークリッド宇宙望遠鏡は2025年3月23日から24日にかけて、可視光装置VISで銀河バルジ付近の9つの隣接視野を観測し、4.8平方度を覆う約60億ピクセルの巨大な星野画像を作成した。

ESAはこれを、可視光で撮影された天の川銀河中心の高解像度画像として過去最大かつ最も詳細なものと説明している。画面には6000万個を超える恒星があり、空では満月約22個分の面積に相当する。銀河バルジは古く低温の恒星が多いため、公開画像は金色から黄土色に見える。暗い斑点は空洞ではなく、前景にある分子雲で、その塵が背後の星明かりを吸収・散乱している。

一日の観測、九つの星野

Q2論文によると、この銀河バルジ探査はユークリッド通常の宇宙論探査とは異なる観測戦略を使った。9つの主視野はそれぞれ400秒露出を16回行い、点像分布関数モデルを作るための較正視野も追加された。チームは近赤外装置NISPを使わずVISだけを選び、将来の恒星位置と相対固有運動の測定に必要な最高の空間分解能を保った。

天の川銀河全天図にユークリッド銀河バルジ探査の位置を示し、密集した星野の拡大窓を添えた画像
ESA/Gaiaの背景図は、ユークリッド銀河バルジ探査の領域と拡大窓を示す。最小の拡大領域は探査面積のわずか0.003%である。出典:ESA/Euclid/Euclid Consortium/NASA, CFHT, ESA/Gaia/DPAC。

VISは単色装置なので、科学データ自体は主に白黒画像である。公開画像の色は、2025年夏にカナダ・フランス・ハワイ望遠鏡のMegaCamで得られたu、g、rの3広帯域観測から補われた。これらの色は、古いバルジ星、青い若い星、赤い電離水素ガス、暗い分子雲を見分ける助けになるが、ユークリッドの高解像度可視光画像に地上のカラー情報を重ねた表現である。

星明かりが増幅される時を待つ

この星図の科学的な焦点は重力マイクロレンズである。近くの恒星が背景の恒星の前を通過すると、前景天体の重力が小さな宇宙の虫眼鏡のように働き、背景星の光を曲げて一時的に明るくする。前景の恒星に惑星があれば、その惑星の重力が光度曲線に小さな不規則性を残し、天文学者は惑星の存在と質量比を推定できる。

前景の恒星と惑星が背景の恒星の前を通過し、重力マイクロレンズで一時的に明るくする過程
ESAの図は、前景の恒星と惑星が背景星の光を短時間増幅し、重力マイクロレンズ信号を生む仕組みを示している。出典:ESA。

天の川銀河中心の方向には恒星が非常に多いため、このような偶然の整列は星が少ない空域より起こりやすい。Q2論文は、2023年までにユークリッド銀河バルジ探査範囲内で7,801件のマイクロレンズイベントがあり、その中に発表済みの惑星系51件が含まれると整理している。約一日分のユークリッド画像は、鮮明なタイムスタンプ付きの過去画像のように働く。将来同じ領域で星明かりが増幅されたとき、研究者はイベント前の星野と比較し、時間がたって離れた源星とレンズ星を分け、相対運動とレンズの明るさから物理的な質量を推定できる。論文は、場合によってレンズ質量を約10%またはそれ以上の精度で測る道筋としている。

この初期参照は、ローマン宇宙望遠鏡にとって特に重要だ。Q2公開時、論文はRomanをまだ今後のミッションとしていた。2026年9月3日時点では、NASAは2026年8月30日にナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡の打ち上げに成功しており、機体はL2領域へ向かう約3か月の航行と試運転を始めていた。ローマンは今後、近赤外線で銀河バルジを長期間監視し、ユークリッドは多くのイベントが起こる前の高解像度可視光参照を提供する。

暗黒宇宙のミッションが自分の銀河を見る

ユークリッドの主な任務は、遠方銀河の形と距離、宇宙の大規模構造を測り、ダークマターとダークエネルギーが宇宙進化にどう影響するかを追うことにある。Q2では、その広視野・高解像度の能力を内側へ向けた。ユークリッドは数十億光年先の銀河だけを見るのではなく、塵と渦巻腕を通して、地球から約2万6000光年離れた天の川銀河バルジを観測した。

Q2のデータ製品には、較正済みの単一ディザー画像、専用の点像分布関数モデル、各ディザーで約4500万個の検出源を含む測光・位置測定カタログがある。論文は同時に、銀河バルジが極端に混雑しており、最も密な領域ではカタログがなお不完全だと注意している。厳密な統計解析には、混雑場での分離、減光、較正限界を扱う必要がある。つまりこれは強力な基礎データであって、すべてを一度に解決する最終星表ではない。

美しい「金砂」の眺めは入口にすぎない。より深い価値は、天の川銀河の混み合った中心を、後で再訪し比較できる高解像度の時点として固定したことにある。将来ローマンや地上探査が同じ領域でさらに多くの低温惑星、自由浮遊惑星、既知惑星の重力マイクロレンズ信号を見つけたとき、このユークリッド画像は、どの恒星が前にあり、どの恒星が後ろにあり、惑星の質量が実際にどれほどかを見分ける助けになる。