Geophysical Research Lettersの研究は、巨大地震の発生位置が完全に隠されているわけではない可能性を示した。チームはカムチャツカの長年のGNSS速度データを確率モデルに入力し、破壊しやすい沈み込み帯断層の固着域を特定した。最大の高固着領域は、2025年Mw 8.8カムチャツカ地震の主破壊域と破壊開始域に一致する。発生時期、浅部すべり、津波規模にはなお追加観測が必要だ。

要点

  • Axel J. PeriollatとGareth J. Funningは2026年7月15日に研究を発表し、地震前に得られていたGNSS地表変位データを使って、カムチャツカのどの断層位置が巨大破壊を起こしやすいかを予測した。
  • モデルは、1952年Mw 9.0地震以降に蓄積したすべり欠損が2025年Mw 8.8地震で放出されたモーメントの多くを説明できる主な高固着領域を特定した。
  • 1952年と2025年の地震はいずれも同じ長寿命の固着領域内で始まり、測地データがイベント前に高リスクの破壊位置を示し得ることを示した。
  • この結果は巨大地震がどこで破壊するかの長期予測を支えるが、正確な発生時刻、マグニチュード、津波高、被害を予測するものではない。
  • 2025年の地震は1952年より浅部すべりが少なく、津波影響の違いを説明する一因となり、海底測地観測の必要性を強調している。

地震がいつ起きるかを正確に知るのは今も難しい。それでも、巨大破壊がどこで始まりやすいかは、前もって手がかりを残す可能性がある。カムチャツカ沖で起きた2025年Mw 8.8地震は、地震前のGNSS地表変位データから巨大逆断層地震の起こりやすい破壊位置を予測する手法の試金石になった。Geophysical Research Lettersで、UC Riversideの地球物理学者Axel J. PeriollatとGareth J. Funningは、モデルが事前に示した高固着帯が実際の主破壊域と一致したと報告している。

ここでいう「予測」は位置の予測であり、日付、時刻、揺れの強さを短期的に言い当てるものではない。この手法は、地震前に利用可能だった測地データを使い、巨大地震に足るひずみを蓄える可能性が高い断層パッチを見つける。実務上は、「次の地震は正確にいつ起こるのか」ではなく、「どのセグメントを最も注視すべきか」へ問いを移す。

GPSは固着した断層をどう見るのか

カムチャツカは、太平洋プレートが年間約80ミリメートルで北西方向へ進み、オホーツク・マイクロプレートの下へ沈み込む境界上にある。摩擦によってプレート境界の一部が固着すると、その上の地表は長い年月をかけてゆっくり変形する。GNSS観測点が記録する水平速度は、ひずみがどこに蓄積しているかを示すことができる。

カムチャツカ沈み込み帯の確率的固着マップ。主な高固着パッチが2025年破壊開始域の近くにある
主な高固着領域は2025年の破壊域と開始域に近い。この図は、論文の確率場、震源、GNSS速度の関係を読みやすく単純化している。

PeriollatとFunningは、Bürgmannらが2005年にまとめたカムチャツカのGNSS速度を境界要素法の断層モデルに組み込み、Metropolis-Hastingsサンプリングであり得る固着パターンを探った。どこにアスペリティを置くかを先に決めるのではなく、多数の候補となる断層配置を観測速度と比較し、各断層要素が固着している確率を推定する。

その結果は、将来の破壊しやすさの地図になる。論文は固着確率が0.45を超える連結要素を用いて、6つの高確率クラスターを特定した。最大のものは618要素を含み、サンプリング後の中央値は約423固着要素だった。1952年と2025年のカムチャツカ巨大逆断層地震の震源はいずれもこの中央固着帯内にあり、より小さな高確率パッチも破壊開始域の近くにある。

論文はさらに、蓄積したすべり欠損と放出された地震モーメントを比較している。主な固着領域は1952年の地震以降、2025年Mw 8.8地震の放出量に匹敵するモーメント欠損を蓄積しており、長く続く固着パッチが巨大破壊の位置を左右するという考えを支える。ただし一部の特徴は観測点配置やインバージョンの端の効果を反映している可能性があり、沖合浅部の固着は陸に近い領域より拘束しにくい。

同じ領域でも津波は違う

1952年Mw 9.0地震と2025年Mw 8.8地震はいずれも同じ長期固着領域を巻き込んだが、浅部すべりは異なっていた。論文は、1952年に海溝近くでより強いすべりがあったことが同年の大きな津波を説明し得る一方、2025年の破壊はより深い場所に集中し、浅部すべりが限られていたため津波の影響が小さかったと論じている。

1952年と2025年のカムチャツカ地震の浅部すべりを比べる断面図。1952年は海溝近くのすべりが強い
1952年と2025年の地震はいずれも同じ長期固着領域を巻き込んだが、海溝近くの浅部すべりの違いが津波影響の差につながった。

この違いは重要だ。ひずみがどこに蓄積しているかを知っても、破壊が断層全体をどのように進むかまで分かるわけではない。年間約80ミリメートルのプレート収束なら、1952年から2025年までに加わる相対運動は約5.8メートルだが、2025年イベントの一部では20から30メートルを超えるすべりが起きた可能性がある。著者らは、1952年にひずみが完全には解放されなかった可能性、または地震後過程がその区間をより速く再蓄積させた可能性を議論している。

防災上、この区別はきわめて重要だ。固着確率は、沈み込み帯のどの部分が巨大地震を起こしやすいかを予測する助けになる。しかし津波の大きさは、破壊が海溝まで達するか、浅部すべりがどれだけ起こるか、海底変形が海水をどう動かすかにも左右される。多くの沖合断層帯では、こうした量の直接的な長期観測がまだ不足している。

カムチャツカから他の断層へ

UCRの発表によると、チームは関連する位置予測手法を日本、メキシコ、ニュージーランド、太平洋岸北西部の主要な沈み込み帯に適用しており、同じ考え方がカリフォルニアの断層解析に役立つかも検討している。ヘイワード断層にはゆっくりクリープする区間と固着した区間があり、地表変形データがそこでも破壊しやすいセグメントを示せるのかが問われている。

最大の制約はやはり観測だ。陸上GNSS観測点は長期速度を与えるが、危険な断層セグメントの多くは沖合にある。沖合浅部のプレート境界は津波ポテンシャルを決める重要要素でもある。日本は海底音響測地によって多年にわたるゆっくりした変形を追跡し始めている。より広い観測網があれば、確率的な固着モデルは回顧的検証を超えてより強い基盤を得られる。

したがって最も確かなメッセージは、地震の時期を予測できるようになったということではない。巨大地震が起こりやすい位置を、これまでより根拠をもって絞り込めるということだ。地域社会にとっては、長期的な土地利用、津波避難計画、インフラ判断を強める材料になる。実際に揺れが始まる瞬間には、どんな単一モデルも備えそのものには代われない。